1ミリも離したくない

140文字におさまらない寝言

藤北「REALME」名古屋初見


※日々記憶が薄らいでいくので、少しでも忘れないうちにと、勢いだけで書いた。ネタバレ満載。頭と日本語不自由。

名古屋公演が終わって1週間。
未だに「REALME」に関して何が起きたのか分かっていない。
いや、正確には理解出来てないと言った方がいいと思うが、目の前で繰り広げられた事実が衝撃すぎて、思考がついて行かないのだ。

思い返せば4年前の7月。
大雨の降る名古屋初日もそうだった。

横花両サイドにそれぞれいた藤北が、次第にセンステへと歩み寄り、そのまま腕を絡めるというパフォをした時も、理解が出来なかった。

スタンドにいた私のところからは、二人がすれ違ったまま暗転したステージ上で何が起きてるのか全く分からず、散々焦らされ、そしてスポットが当たった時には二人が腕を絡めていたのだ。

歓声と悲鳴でドームが揺れた。

なのに、私は声を出せないまま、二人を見ることしか出来なかった。

腕を絡めたまま、くるりと背を向ける二人。
身長差からか、藤ヶ谷くんに翻弄されるように見える北山くん。
なのに、これみよがしに指を動かしファンを煽りまくる。

私は声を出せないまま、ただただ、二人に魅了されたのだ。

なんで腕を絡めたのとか、そこにどんな意味があったのかとか、考えようとしたけどもう、どうでもいい。

あの時間を、あの空間を、宝物にしたいと思うくらい、藤北のパフォーマンスに酔いしれたのだ。



そして、今年5月5日、名古屋初日。

ZEROからの流れでそろそろ来るんじゃないかと期待に胸を踊らせながら、カ・ク・シ・ゴ・トを堪能した後に少しの暗転。

REALMEの曲と同時にスポットが当たったメンステには白いシャツに黒のパンツ、色の付いたメガネを掛けた北山くんが。

きたーーーーー!!!

思わず手にしたペンライトのハンバーガー部分を割れる勢いで握りしめ、歓声をあげた。

ロッキンを彷彿とさせるそのメガネ(グラサン?)が、今までの藤北を超えたかったからなのか、どんな顔してやればいいのよ~という照れからなのかはよく分からないが、薄く色が付いたレンズ越しに見る北山くんの目が非常にエロい。万歳。

そしてパートが藤ヶ谷くんに変わった瞬間、今度はバクステにスポットがあたり、そこには黒シャツ(片方半袖)に白パンツという北山くんとは正反対の藤ヶ谷くんの姿が。

さっき、乳首丸出しで試験管の液体を飲んでいた姿がフラッシュバックで蘇る。わりと上までボタンを止めているシャツなのに、もうその中が脳内で補完されてしまった。エロい。

そしてその二人が、縦花を使い、次第に歩み寄る。

4年前再び。

大丈夫、もう驚かない。

きっと、二人でセンステで指絡ませるんですね、分かります。

今度こそ、ドームを揺らしたあの歓声に参加してやるんだ!
そう胸に誓いながら二人の事を目で追い続けるが、やたらと二人のスピードが早い。

もっと焦らしてくれていいのに、と固唾を呑みながら高まる鼓動を抑えていると、あっと言う間にサビになり。

絡ませて~で指と指を恋人繋ぎ!!

きゃーーーー!!!!!

声出そう!なんて思わなくても勝手に出た悲鳴。私、声出せてる!参加してる!!万歳!!

そう別の意味で感動してる所に、もう片方の手も恋人繋ぎで繋がり。
そして、そのまま両方の手を上げたり下げたりし、更に脇の下に体を潜らせまた元に戻す。

その一歩間違えたら完全にフォークダンスなフリを、そう見せない力量は流石としか言いようがない。

そううっとりして見ていると、突然二人が互いのシャツを掴み引き寄せ合ってるのか、抱き合ってるのか、シャツのボタンちぎったのか、ちょっとよく分からないんだけど
(次入った時しっかり確認します)
こう、ぐっと近づく時があり。

何してるの?え、何したの?え?え?
なんか、2回?2回なんかのアクションしたよね?え?え?

そう頭が追いつかなくなってきた所で間奏になり、ステージ上では二人が並んで踊っていて。

かっこいい。

二人の揃ったダンスは本当にかっこいい。好き。

頭に疑問符が浮いたままでは勿体無いと、一旦忘れて二人のダンスに見とれていると。

北山くんのパートで前に進んだかと思うと突然しゃがみ込み、よく分からない何かに手を突っ込んだかと思うと、その手には黒い液体が。

今度は藤ヶ谷くんのパートになり、藤ヶ谷くんも同じようにしゃがみこむと、今度は白い液体が手にあって。

そして、二人で向かい合う。

え?何してんの?え??え?え?

何が起きるのか全くわからないまま、ただ状況を見守ることしか出来ないでいると。

藤ヶ谷くんの液体塗れの手が。

北山くんの胸に、べちょ、っと。


ぎゃーーーーーーー!!!


割れんばかりの歓声と悲鳴。


そして、今度は北山くんの手が、藤ヶ谷くんの腕に、べちょ、っと。


ぎゃーーーーーーー!!!


同じ様な歓声と悲鳴。


そして気がついたら、息すらしていなかった自分。


これ以降は、衝撃で記憶が飛んだり前後してはっきり分からない。

相手の首に腕を回したのはどっちが先か、とか。

立ち膝して抱き寄せたのはいつか、とか。

汗ではなく液体でベトベトになった手を絡ませながらまた踊った時にはどんな振りだったのか、とか。

とにかくよく分からないまま、北山くんの体をパレットにして、白と黒が混じり合い、グレーになっていく様が、何故か凄く綺麗だと思っていた。

物凄くエロい目で見始めたのに、その想像を超えるどころか完全に斜め上の発想に、エロどころか、なんかの芸術作品を見てたんじゃないかと思ってしまうくらいで。

いや、エロいのよ。

ねっとりぐっちょり、ベトベトのぐちょぐちょなんだけど!

一歩間違えたら何を見せられてるんだって思ってしまうくらいエロいんだけど!!

いやもう、エロいんだけど!←



そんな事を思いながら見ていると最後よ。

you are my darling でお互いを指さ...(倒)




1週間経って落ち着いてみると、やっぱり何が起きたのかはっきり分からないし、全く頭の中で整理出来ないし、なんで黒と白の塗料だったのか、それをどうして白側の方に黒を絡めたのか分からないし、それに意味があるのか無いのかすら分からないけれど。

そんな事どうでもいいや、と思ってしまうくらい。

北山くんの顔がエロくて挑発的で、藤ヶ谷くんの顔が綺麗で時々冷たくて(いい意味で)、北山くんのダボ付いたシャツから覗く素肌にのる塗料のコントラストだとか、藤ヶ谷くんの引き寄せたり離したりする手付きやしなやかさだとか、語彙力が無いから上手く書けないけど、あの二人のREALMEは凄くエロくて綺麗だった。

そして最後、曲が終わった後、暗闇の中二人が並んでメンステの方へ向かって縦花を歩く姿は本当に藤北が藤北過ぎて胸がぎゅっとなった。完璧なパフォーマンスを見た後だから余計に、自然な藤北にぐっときてしまったんだと思う。


幸いな事にまた入ることが出来るので、今度はもう少し落ち着いてじっくり二人を堪能してみたい。
また興奮して忘れた、何が起きたのか分からない、夢でも見てたのかな?と言いそうだけど。

「そして僕は途方に暮れる」

※もう数日で千秋楽を迎えるが、念の為ネタバレがある事を先に書いておく。

基本的に頭が悪いので、記憶力も語彙力も文章力も欠如しているのだけど、記憶が薄れる前に自分用に書き留めておきたい、という理由だけで書きなぐったのでかなり読みづらいと思われる。
無理だと思った時点でブラウザ閉じて頂きたい。



まず前情報として、藤ヶ谷くん演じる裕一はクズ男だと言うこと、パンツ見れるシーンがあるという事、途中で客席歩くと言う事だけを知っていた。
もう本当にそれだけ。インタビューやWSすら見ず。

その、ほぼ真っ更な状態で見た第一の感想が
「え、言うほどクズか?」
だった。
クズだクズだと前フリがあったから、どれだけのクズが出てくるのかと期待してしまったのが大きかったのかもしれない。
クズ男の判断ジャッジは人それぞれだと思うけど、私にはクズ男には見えなかった。

勿論藤ヶ谷くんが演じているという欲目もあるのかも知れないが、どこにでもいそうな弱い男の子に見えた。

そう、どこにでもいそう、なのが凄くよかったのだ。

この話も全ての登場人物も、どこにでもいそうな、まるで隣の家でも覗いてるような日常の話だった。

定職につかず普段はゴロゴロしてるフリーターの主人公も。
その彼と5年も付き合ってる一見世話好きの母親代わりのような彼女も。
優しくて普段は人に注意もできず溜め込んで、爆発させてもそれすらキモイこと言うけどと予防線張りながらじゃないと言えない友達も。
ノリで生きてるチャラい先輩も、褒め殺しのお世辞で追い詰める後輩も。
身内だからこその暴言を吐く姉も、家族に棄てられたと宗教を心の拠り所にする母も。
そして親戚にした借金から逃げて退職金で生活する父も。

みんな、どこにでもいそうな人ばかり。

それを憎悪劇でもなければ、激しい恋愛の話でもない、普通の日常を切り取ったような話の中で動いていくのだ。

気を抜けば飽きられてしまうような、そんな緊張感の中で藤ヶ谷くんが演じていたかと思うと、より胸が熱くなる。どんなに難しかっただろうかと思う。

話しは戻ってクズかどうかの話だが。
裕一は、弱くて、楽な方向に思考が行きがちで、頭の中ではちゃんとしようとしてるのに行動が伴ってなくて、でも、嘘の付けない根がいい子の不器用な男の子だなぁ、と思った。
浮気を問い詰められた時、よくクズがやりがちな適当な嘘で誤魔化したりその場しのぎの言葉で相手を丸め込ませたりしていない。
実家で謝る時ですら、今度からはしっかりこうやる、などと言わず、どうしたらいいか分からない変われるかどうか分からないとまで言い出す。
正直、母性本能を擽らせる男だと思う。
世間一般的に言うなら、ダメンズ好き女ホイホイかも知れない。
だが残念ながら世の中にはダメンズ好きは多く存在して、里美もそのうちの1人なんだと思う。
女性っぽい家具に彼女名義のアパート。みるからに二人で仲良く決めた部屋ではない、裕一が彼女の部屋に転がり込んできたのだ。
それでも5年同棲を続けていたのだから、フリーターでゴロゴロしてる彼を受け入れていたんだろう。
個人的には、既に共依存の関係だったのではないか、と思っている。
狭い行動範囲に彼を囲えば、彼の目が自分だけを向いていてくれる。どれだけゴロゴロしてても何も言わなかった彼女が浮気が発覚した時点で裕一を問い詰め始めたのは自分の存在価値が揺らいだからだと思ったし、後にあっさりと別の男に行ってしまったのは依存体質が故だろう。

そこで、見終わった後に思った二言目の感想が
「むしろ、里美と今井の方がクズじゃね?」
だった。
…...のだけど、それもほんの数分後に、やっぱりクズでは無いな、になっていった。

やはりどうしても裕一に感情移入してしまい、二人を裏切り者の様に思ってしまうけど、自分が里美や今井になった時絶対同じことをしないかと問われれば答えはNOだ。
5年間付き合った彼が浮気した挙句逃げたのだ。全く不誠実に。それを帰ってくるまで待たなきゃいけない理由はない。
今井だってそうだ、彼を2週間自分の所に居候させたのに、注意したらあっさり飛び出し着信拒否で連絡出来なくされたのだ。向こうから切られたのに、こちらだけずっと友達だと思って義理を立てる必要も無い。
きちんと終わらせて次に行くべきだと思うが逃げて終わらせる事さえさせてくれなかったのは他でもない裕一だ。
どうでもよかった、と里美が言ったけど、その言葉は凄く真実味があって、凄く残酷だと思った。

そして、3番目に思った事は
「そんなに裕一はダメなことをしたのか?」
だった。

逃げる、という行為は果たして悪なのか。

彼が逃げ続けた期間はたかだか2ヶ月。
それも、全くの知らない土地で別人として生きたとか言うドラマチックな展開だった訳でもない。
友人知人、身内の所を転々としただけの、ただのプチ家出だ。

勿論里美にとっては不誠実だっただろう。
浮気して裏切った挙句友達の所に行ってしまったのだから。

でも、裕一にもタイミングがある。
5年間何も言わずに自分を許容していてくれた彼女が突然豹変したのだ。今まで何も言わずにいてくれた彼女に浮気がばれ話し合いたいと言われたのだ。
いや、待って欲しい。僕が悪いのは分かっている、悪いと思ったから前日にちゃんと別れてきたのだ、一旦クリアになったはずの終わった話なのに、バレて大人しかった彼女に発狂されても、心の準備が出来ていない。

彼は里美を愛していた。

だから、逃げたのだ。

5年も同棲して、スマホの待ち受けを彼女の写真にしている男が一体どれくらいいるだろう。
それくらい愛してる彼女を、失うかもしれない事が何よりも怖かったのだ。

話し合い?めんどくせぇ~と逃げたクズなら、ここまで心を揺さぶられたりはしない。
不器用な、キャパの小さい、でも嘘をついたり言い訳をしない男が、キャパオーバーして逃げたのだ。

逃げた事でどうなるかなんて想像もできないくらい、いっぱいいっぱいだったのだろう。
5年間優しかった彼女が、自分が離れたことでどうなってしまうかなんて分からなかったんだろう。

逃げることで、その話を一旦保留にしたかったのだ。

彼に無償の愛を注いできたのは母親もそうだった。数ヶ月連絡を取らなくても、優しく自分を迎え入れてくれる。きっと彼女もそうだと思ってしまっても不思議ではない。

逃げた彼の中ではそれが大部分を占めていても、周りの人間にもそれぞれの日常があって、浮気をしたという事実は保留もされないし、いなくなった裕一の事は次第に過去になっていく。

そんな事すら分からないくらい、余裕のなくなった彼はただその場から逃げ出した。

人のキャパは人それぞれだ。あらゆる困難に立ち向かえる人も、突然起きたアクシデントに平然としていられる人も、物凄く些細な出来事でクヨクヨしてしまう人も、本当にそれぞれだ。
走るのが遅い人に早く走れと言っても不可能なように、キャパの小さい人に大きくなれと言ってもなかなか難しい。

今までキャパの小さい人が逃げたくないと無理をし、体や心を壊したのを見てきた。

逃げる事は逃避だ。

個人的には、逃避をする事が自分を保つ手立てなら、いくらだってどんどん逃げればいいと思っている。色んなものを失う覚悟があるのなら。
勿論失ってもまた掴めばいいし、やり直しなんていくらでもきく。

ただ裕一は、一番失いたくない彼女を失うハメになったのだけど。


今、ここまで書いて読み直し、話があちこち飛び自分の言いたい事の半分も書いていなくて絶望している。

自分の頭の弱さから逃げ出したい(そんなオチか)

長くなってもアレなのでまとめに入りたいのだけど、全体通して言えることは、ありふれた日常の話で本当に面白かった、という事。

そんな話だから、観客側の価値観、置かれてる環境などの違いで何通りもの見方が出来る。同じ人間でも、1回目、2回目と違う見方も出来るし、見る側の体調の違いですら違う物語になるかもしれない。
私のように、クズは誰もいなかったと思う人もいるだろうし、登場人物クズしかいないと思う人もいるだろう。
例えば今井と先輩に対しての態度の違いが、人によって態度を変えるクズだと思う人もいれば、今井の所で一度失敗したから学習して先輩の家ではうまくやっていってるんだなと思う人もいるし、どんどん行ける範囲が狭まって切羽詰まって来てるから先輩にヘイコラしだしたんだな、と思う人もいるし、本当に何通りもの取り方が出来るし見方が出来る。
故に見応えがあったし、考えさせられたし、登場人物全てに共感できたし、こんなにも心を掴んで離さないのだろう。

歯車がひとつズレたまま進んだ日常がこんな結末で終わってしまったけど、今後の彼の未来は明るいはずだとは軽はずみに言えない。
不器用な彼がどこまで変われるかなんて分からないし、案外このまま行ってしまいそうな気もする。
それでも老いて病院のベッドの上で、全く面白い人生だったと呟く未来を信じて止まない。


藤ヶ谷くん、素晴らしい舞台を本当にありがとう。

あの目の動きだけで感情を表した所は、本当にゾクッとしたよ。


* * * *


ところで余談だが最初に書いた下着シーンと客席を歩くと言う前情報があって本当によかった。
あのお尻の丸みも、とぼとぼ歩く姿も、しっかり目に焼き付かせる事が出来た。ネタバレはせず必要な事だけ教えてくれたお友達、ありがとう。